簿記が嫌いでサボりがちだった自分が、計算力を伸ばした方法【実体験ベース】

日商簿記1級

初めに

私は簿記が好きではありません

初めて大学の講義で簿記3級を履修した時、1mmも興味が持てませんでした。授業にも身が入らず、テスト前にちょろっと勉強した結果、落第しました。

その後、会計士を目指すことにしてから、本腰を入れて簿記を勉強するようになりました。

相変わらず簿記は好きじゃなかったので、以下のような状況でした。

  • 講義はほぼ見ない。長時間見てられない。
  • テキストパラパラ眺めて、問題集やらない
  • 問題集や過去問をごり押し回転 
  • 問題集の解答から丸暗記しようとする

いろいろ遠回りしつつも試行錯誤をした結果、結局これをやれば伸びるという必須ポイントが見えてきました。おかげで日商簿記2級に2か月で1発合格、その後日商簿記1級に合格しました。

今回はそのポイントについて、ご紹介します。

インプットによる理解から始まる

インプットは、テキストを読んだり講義を受講することです。

まずはどんなものなのかを知らなくては、問題を解くこともできません。

理解は諸説ありますが、「これはなに?」「なぜこれをやる?」という疑問が自分の中で解消されて、腑に落ちていることと、筆者は定義します。

具体例を用いたり自分なりの解釈ができたり、人に一言で説明できるなどによって理解度が図れます。

→講師などが具体例を用いて解説する時や「簡単に言うと」と説明するときに、よく聞いてメモしておくことが理解にめちゃくちゃ有効です。

この概要やイメージがしっかり入っているかどうかで、その論点の得意不得意が変わります

仕訳や下書き、問題文の意図などが理解しやすくなり、記憶にも残りやすくなるからです。

なので個人的には計算の解き方とか公式の説明よりも優先度高いです。

簿記の流れ頻出するキーワードなどが一つずつ理解できていると、捻られた問題や大量の資料が出てくる問題にも対応できるようになります。

以下の記事で、管理会計の本質の理解について具体例を用いながら説明しています。

講義を見るのは大事。相対試験なら大手予備校で受講!

難易度がある程度までの試験は、市販のテキストを自分で読んで理解して、あとは問題集や過去問を解くことで合格することができます。(日商簿記2級までは自分はこれでした。)

ですが、日商簿記1級や会計士試験、税理士試験などの高難易度の相対試験では、講義を受講するのが必須です。

特に合格占有率の高い、大手の予備校の講義です。

相対試験で合格するためには、正答率の高い問題を解けるようになる必要があります。

受験者の多くが大手の予備校にいるので、同じ講義、問題集、答練を受けて前提条件を揃えなければ不利になります。

講義を見なかったり、マイナーな予備校に入ると、スタート時点から他の受験者に後れを取ります。もちろんハンデがあっても受かる人はいますが割合は低いです。

講義を見なかったり、マイナーな予備校で学んだ結果

自分は簿記の勉強を始めたころ、講義も見ず、理解も重視せず、ひたすら丸暗記をしていたところ、日商簿記2級は合格できましたが、日商簿記1級の勉強に全くついていくことが出来ませんでした

問題の意図などが全くわからなくなるのです。

また会計士試験で言うと、合格占有率はTAC、大原、CPAの3校で9割以上を占めていましたが、筆者は当時、それ以外のマイナーな予備校にいました。

「安いし、ここにも合格者がいるから自分の努力次第だろう」と!

結果、何年も成績が伸びませんでした。ここまで伸びないのかと思うくらい伸びませんでした。

講義も使いまわしで、問題集もバラバラで、何を優先的に片付けたらいいのかわからないのです。

講師やスタッフに質問しても、あまり解決にならない回答や、自信を無くすような回答が返ってきました。

その後大手の予備校に移ったら、なんてわかりやすい講義や教材なんだと思いました。すぐに停滞していた成績も伸びました。

結果的に会計士試験は受からずに道を変えたのですが、ここで得た学びは今でも活きています。

理解が大事っていうけど、どれくらい理解すればいいの?

理解が大事と言われても抽象的で、どれくらい必要なのかわからない方も多いと思います。

まず初めは、普通に講義を受ければ十分です。

講義によってある程度イメージがついた後に、問題を解いていると、「あれこれってなんだっけ」と疑問が湧いてきます

そうしたらテキストに戻ったり、講師やAIなどに聞いたり、ネットで検索をして解像度をあげます

これの繰り返しで、自然と必要な分だけ理解が身に付きます

はじめはわからなかったものも、学習を進めて再度戻ってきた時に、そういうことかと気づいたり、知識が繋がることもあります。

筆者の場合は税効果会計、外貨建ヘッジ、本支店会計等は講義で聞くだけだと混乱しました。

しかし、実際に問題を解いていくと「何が問われて、どの考え方が必要なのか」が見えてくるので、その後にテキストに戻ったり、講義を見たり、知識の整理をすることで理解が深まります。

ゲームで例えると、プレイ前に説明書を読み込んでもよくわかりませんが、実際にゲームをしながらわからないところを説明書やコツ、攻略法などを知ることでうまくなるのと同じです。

アウトプットでわかったつもりを潰す

わかりやすい講義を見た後や、テキストをパラパラ見て「大体わかった」で終わるのが一番危険

実際に問題を解いてみると、

  • 「あれ、これどっちだっけ」「どうやるんだっけ」
  • 似た論点を勘違いしてる
  • 貸借逆にしてる
  • 転記ミス、端数処理のミス、指示を見逃す

などなど、講義を見てわかったつもりでも、意外なミスが次から次へと出てきます

試験本番の時間制限×緊張の中で正確に解くには、“無意識レベルまで定着していることが必須です。

「あれこれどっちだけ」「なんだっけこれ」

こういう曖昧さが、余裕や自信が無くなって問題が難しく見えたり、時間ロスやケアレスミスに繋がります

これらを防ぐためには、講義でインプットをした後に、問題を解いてアウトプットをし、間違えた部分を1つ1つ改善していくことが必要です。

間違えるほど、計算力は伸びる!

問題をちゃんと解いて間違えると、めちゃくちゃ腹が立ちます

今までの努力を否定されているかのようなショックを受けて、自信やモチベが下がります。

昔はこのストレスが嫌で、問題集をやらなかったり、すぐ答えを見たり、下書きを書くのをサボっていました。

でも簿記力を伸ばすためには、間違えてショックを受けることがとても重要で、

「なんで間違えた?」
「どの部分が理解できてなかった?」

イライラすると同時に、自然と知的好奇心を刺激してくれます。

そして感情が揺さぶられることで、脳が必要性を感じ、記憶の定着に繋がります

この時に、テキストに戻ったり、ネットで調べたりして疑問を解消することで、理解度が増します。学んだこともテキストやノートに一元化して書いておきます。

また同じ論点の問題が出たときに“危険センサー”が働くようになります。

「以前ここを間違えたから、チェックしておこう」など、ミスの予防に繋がります。

なので問題集を解きたくないと思ったときや、間違えてイライラしたときには、こう考えましょう。

間違えた分だけ、計算力が付く!

ケアレスミスは“気をつけよう”では治らない

試験の準備期間は有限なので、範囲が広い試験ほど、それぞれの論点の復習の回数は限られますし、記憶は混同しやすくなります。

“気を付けよう”とか、丸暗記ではケアレスミスは直りません

丸暗記して一時的に間違えなくなっても、時間が空くとまた同じようなミスをします。

  • 間違えた理由を探る(なぜ間違えた?理解不足?暗記が足りない?下書きがダメ?…)
  • 間違えた部分や理由を一元化(ノートやテキストにまとめる)
  • 自作問題にして、定期的に解きなおす(アクティブリコール)

こうした具体的な方法で、1つずつ潰していく必要があります。

無限に思えるこのような作業ですが、1度しっかりとした対策ができると、あまり復習しなくても同じような間違え方が激減します

これによって、点数が安定したり、自信に繋がります

実際試験本番では、ケアレスミスによる失点が合否に関わります

「全部わかっているのに端数処理を間違えた」

「簡単なのに、貸借逆にしていた」

「指示を読み飛ばしていた」

など、本番の後に悔しい思いをしないために、日ごろから1つずつ改善するのがおすすめです。

また、ミスが減ると直しや復習の時間も少なくなって、より細かい部分まで目線を向ける余裕ができるので、さらなるレベルアップに繋がります。

自己流の下書きを見つける。改良する

下書きはめちゃくちゃ大事。

たまに仕訳で全部やる人もいますが、論点によって使い分けることがおすすめです。

間違いにくく解きやすい下書きを、素早く書けるように、自分流に改良していくことが大事です。

簿記試験、会計士試験や税理士試験を経て、色々な講義を見たのですが、講師もお勧めする下書きが全然違います。すごい解きやすいものもあれば、意味が分からないものもあります。

下書きや解き方は人それぞれしっくりくるものが違うので、とりあえず習った下書きを使いつつ、自分がしっくりくる下書きにかえていくのが効率的です。

問題集を解いて、実際に下書きや仕訳を使ってみて、ミスが少なく早く解けるやり方を見つけるのが大事です。


いったん良い下書きが書けるようになると、処理スピードや正確性も爆上がりします

自分も長年簿記をやっていますが、今でも新しい下書きに鞍替えしたり、改良します。


仕訳は使うものだけ覚える

仕訳も大事。でも全部覚える必要はないです。

  • 仕訳ですぐ解けるところは仕訳で処理 
  • 仕訳を書く必要がない物は、直接試算表に書いたり集計する
  • 仕訳だとわけわからなくなる論点は、素直に下書きで整理

こんな感じで使い分けると効率的です。

仕訳も覚えやすい物と覚えにくい物がありますからね。

そして、仕訳は略称を使うと時短になります。

(現金→C、売掛金→売×、退職給付引当金→退ひ、退職給付引当金繰入→退く)などなど、これも人それぞれしっくりくるものが違いますが、効果は絶大です。


時短できると余裕が生まれるので、ケアレスミスが減ります。これは本当に効果が大きいです。

簿記の勉強は量が多いから、優先順位をつける

簿記の勉強量は多いです。

講義を受けて、わけのわからない論点を大量に解説されて、終わったと思ったら、大量の宿題を出されます。
全部やらなきゃと思うと、ハードルが高くてやる気がゼロになったり、先延ばししてしまう原因になります。

だから筆者の場合、

  • クソ長い問題 → 一旦飛ばす
  • 頻出じゃない論点 → 一旦飛ばす
  • 一瞬で解ける問題 → やる
  • 核となる論点 → 必ずやる
  • 自分が苦手な論点→やる
  • 絶対間違えないような問題→やらない

実際の試験でも、長文の問題や特殊論点は後回しにするし、最悪解けなくても合否に関係ないことも多いです。

継続するためには優先順位をつけることも大事です。


総合問題を何度も解き直すのが無理な方にお勧めの方法

毎回総合問題や過去問を最初からやると、1〜2時間使います。

まるつけや直しも含めたら大変ですよね。始める前から、気分が暗くなります。

割と巷では、過去問や総合問題を何周も回したりすることが推奨されますが、自分はほんとに嫌でした。

やったこともありますが、正解できるとこはいつもできるし、間違えやすい問題は、3回やっても同じところで間違える

だから私は、「わからなかったところだけを抜き出して自作問題を作る」この方法に切り替えました。

間違えた部分を抜き出して自作問題にする

自分はankiというソフトに、間違えた問題の論点を簡略化し自作問題にして、解きなおしをします。(これは自作ノートでもスプレッドシートでもなんでもいいです)

例えばリースの問題を間違えたとします。

大部分はあっていたのに、「所有権移転外ファイナンスリース取引では、リース資産とリース債務は、割引現在価値と見積現金購入価額の安いほうを使う」という論点が、あやふやになって間違えたのだとしたら、その部分だけを復習したらいいのです。

この論点を自作問題にするならば、

「所有権移転外ファイナンスリース取引では、リース資産とリース債務は、割引現在価値と見積現金購入価額の○○を使う」と、穴空き問題にすれば簡単です。

いちいち、5分使って原文の問題を解きなおす必要はありません。

結果、手軽に自分の弱点だけを復習できるので、ハードルが下がりますし、勉強時間の短縮に繋がります。その余裕分を他の問題を解くことに充てることが出来ます。

アクティブリコールは記憶の定着に最適

そして、なぜ自作問題なのかというと、アクティブリコールと言われる学習が最も記憶の定着がいいからです。

アクティブリコールとは、脳から記憶を引っ張り出す作業のことです。

問題集を解くことやテストもそうですし、赤シートで隠して暗記したり、風呂や寝る前に今日学んだことを思い返すことも当てはまります。

これらは、ただテキストや間違いノートを眺めて復習するよりも、自分が本当に覚えているかをチェックできるため、ものすごく効率がいいです。できてるつもりを潰すことが出来ます

会計士受験生の頃、Xでとんでもない高得点を取っている方が、スプレッドシートでアクティブリコールしているのを見て取り入れたところ、かなり効果的だったのでそれ以来続けています。

まとめ:

まとめると、

  • 講義やテキストでインプットし、大まかに理解する
  • 問題を解いてわかったつもりを潰す
  • 下書きや仕訳の略称を改良する
  • 間違えた問題を間違いノート or 一元化する
  • 自作問題やアクティブリコールで復習

この流れがおすすめです。

地味だけど、これらを押さえれば、簿記嫌いでも簿記力は伸びました。