目次
はじめに
英語学習において、「たくさん聞けば自然に英語力が伸びる」と聞いたことはありませんか?
でも実際には、ただ英語を“聞き流しているだけ”ではすぐ眠くなるし、なかなか上達を実感しない…そんな経験がある方も多いはずです。
そこでカギとなるのが、「Comprehensible Input(コンプリヘンシブル・インプット)」=理解できるインプットという考え方。
これは、新しい知識を学ぶ際に、言葉の意味や文脈が理解できる形で、情報を取り入れる学習法です。
簡単な言葉や具体例、イメージ図などを活用し、学習者が内容を自然に理解できるようにするのがポイントです。
これらは言語学者のスティーブンクラッシェンが提唱したインプット仮説に基づいています。インプット仮説については、以下の記事で詳しく解説しています。
とはいえ、
「じゃあ理解って具体的にどういうこと?」
「なんで理解が大事なの? 暗記じゃダメなの?」
と疑問に思う方も多いと思います。その疑問を1つ1つ解決していきます。
1. なぜ「理解できるインプット」が重要なのか?
人間は、理解した情報ほど記憶に定着しやすいといわれています。
丸暗記よりも、内容が腑に落ちた状態の方が、長期的に覚えやすいのです。
例えばわかりやすい先生は、ただ教科書の内容を板書して説明するだけではなく、イメージやグラフを用いたり、面白いエピソード、実験、実際の具体例等を通して、わかりやすい説明をしてくれます。
このような先生の授業は多くの学生が前のめりで参加し、テストの平均点も上がる傾向があります。
なぜなら、学生が意欲的に学習に参加し、内容の理解ができる上に、記憶にも定着しやすいためです。テスト前の学習時にも記憶が残っているため、自習が捗ります。
英語学習に置き換えるならば
YouTubeやネットフリックスの映像を通じて英語を学習することで、ストーリーや視覚的な情報と共に、自然と楽しく使える知識を吸収することが出来ます。
やはりテキストや単語帳など、音声や映像、イメージ図などが欠けているもので暗記しようとするよりも、映像で学習するほうが圧倒的に脳に残りやすいです。
そのうえ単語ごとではなく、センテンス丸ごと頭に自然と入るので、英語を話すことにも役立ちます。
一昔前ならば、海外ドラマのDVDを買い集めたり、ネットで数万円から数十万円もする英語教材を買うか、英会話教室に通うか、留学をするかしか選択肢がありませんでした。
しかし現代では、大量の英語コンテンツに超低価格や無料でアクセスできるようになりました。これを活用しない手はありません。
2. 聞き流しは無駄?有効なケースは?
英語学習では「聞き流し」が推奨されることがありますが、ほとんど理解できない英語をただ聞いているだけでは、効果が薄いです。
理解できない英語はノイズとなり、頭にほとんど情報が残りません。BGMと同じです。
ではどうすればいいのでしょうか。
📺 映像+音声で「わかる体験」を増やす
動画やアニメは、Comprehensible Inputの宝庫です。
ストーリーがあることで、自然なフレーズ・実際に使える英語が身につきやすいです。
ここで大事なのは、90パーセント程度理解できる英語の動画を見ることが大事です。
「背伸びして難しい教材に手を出す」のは逆効果です。
まずは簡単で、自分が内容をある程度理解できるレベルの教材を選びましょう。
日本語音声+英語字幕から→英語音声+英語字幕とステップアップしていくと、語彙力、理解度、リスニング力がぐんと上がります。
内容を理解しているものを聞き流す
そして上記によって、一度理解した動画や音声などを聞き流すことで、大半が理解のできるため、効果的に英語力を向上させることが出来ます。
子供向け(対象年齢7歳以下)の動画はおすすめ
言語を学び始めたばかりの人にとって、「子ども向けの教材」は最高の教材です。
たとえば、Netflixで配信されているアニメ「おさるのジョージ」は、Comprehensible Inputを見事に活かしている作品です。
「おさるのジョージ」は1話ごとのストーリーがシンプルで完結しており、繰り返し表現されるフレーズや、映像で視覚的に補完される説明が多く、英語を初めて学ぶ人でも内容がスッと頭に入ってきます。
例えば「George is hungry(ジョージはおなかがすいている)」というセリフが流れるときに、ジョージが本当におなかを押さえているシーンが出てくることで、「hungry」という単語が感覚的に理解できます。
ほかにも、登場するキャラクターやモノを、
- 「これはリスです」
- 「どんぐりです」
- 「シマリスです」
と視覚的に見せながら、簡単な英語で紹介してくれるので、内容を理解しやすく自然に英語が身についていきます。
ただデメリットは、大人が見ると、ものすごくつまらないと感じるという事です。
もっと難易度をあげたい場合
もう少しレベルを上げるならば、対象年齢7歳以上のものを選ぶのがおすすめです。
ドラマやアニメ、映画などは、全年齢→7歳以上→10歳以上→13歳以上→…と、段階に分かれています。
ネットフリックスならば、再生ボタンの下の7+と書いてあるものが、7歳以上ということを指しています。

7歳以上の作品ならば、ストーリー的にも楽しく、かつ英語の難易度もそこそこに感じられるものが多いです。
- ポケモンコンシェルジュ
- ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
- スポンジボブ
などが挙げられます。
完ぺきな動画を探す必要はない
自分のレベルに合った英語の動画が、中々見つからなかったとしても大丈夫です。
自分より高いレベルの物は、適した教材よりも理解度が下がり、繰り返し見る回数を増やす必要がありますが、わからないところを調べつつ、繰り返しみれば理解は深まります。
自分は「サイバーパンク」というアニメが好きで、何度も見ました。
16歳以上が対象の作品で、スラングもたくさん出てきて、レベルとしてはかなり高い物ですが、大好きな作品なので10回以上みることも苦ではありませんでした。
結果的にたくさんのフレーズや語彙を学ぶことが出来て、今では字幕なしで楽しめます。
一度の視聴で理解が完ぺきである必要はない
一度の視聴ではわかるところが少なかったとしても、2度目の説明では理解できる部分が大幅に増えることがあります。
他の動画を見たりその他の経験を通じて「この単語やフレーズはこういうことかな?」と仮説がたったりもします。
まとめ|Comprehensible Inputは英語学習のカギ!
Comprehensible Input(理解できるインプット)を意識した学習法は、英語や他の知識を効率よく習得するうえで非常に効果的です。
「理解できる」→「おもしろい」→「続けられる」→「伸びる」
理解できるからこそ、言葉が頭に残る。覚えようとしなくても、自然と記憶に残っていく。それがComprehensible Input(理解できるインプット)の力です。
ぜひ、視覚・ストーリー・具体例を取り入れた教材や動画を使って、「理解しながら覚える」学習スタイルを取り入れてみてください!

